1988年12月3日  朝日新聞(夕刊)

女性の連帯『ミシンを』
中古品も不足のベトナムへ 〜かつての愛機差し出す人続々〜

ニュースグラフ

新年にも150台船積み
 「物置のスミに眠るミシンはありませんか。ベトナムの女性たちが待っています」・・・・草の根市民グループの、こんな呼びかけに、忘れられていた古いミシンが目を覚まし始めた。市民から市民への「お年玉」の準備が師走の町で今、進んでいる。
 物不足がひどかった戦後の復興期、「ミシン」は単なる家庭用具ではなかった。貴重な衣料品の再生機であり、自立をせまられた女達の、生活の糧として大活躍した。そして今、ミシンは「嫁入りの道具」からも外されて、忘れられかけている。ところが、ベトナム戦争が終わって13年目の今年の夏、この国を訪れた市民グループの女性たちが見たのは、“老骨”に鞭打って働く「足踏みミシン」の姿だった。
 東海地方を中心にした市民グループ「ベトナム友好市民の会」のメンバーがベトナムを訪れ、ブンタオ市の婦人会と交流会を開いた時、「戦争未亡人や孤児たちの生活を守るため、やっと5台の中古ミシンを手に入れ、フル回転しているが足りない。もっとミシンが欲しい」と聞いた参加者たちが、口こみでミシンを集め始めたのが「ベトナムへミシンを」運動の始まりだ。
 中古ミシンの提供と船便輸送費カンパの呼びかけに、150台と約50万円が集まった。名古屋のミシンメーカー、ブラザー工業は、集荷場所の提供と修理、整備を引き受けてくれた。
街のミシン屋さんや運送屋さんからも「助っ人」の申し出があった。年内には整備を終え、新年早々にも船積みする予定だ。
 ミシンは10日、輸送費カンパの受付は31日まで、連絡先は「ベトナム友好市民の会」代表・高橋ますみさん。電話052−622−4926.

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